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7. 離縁の言葉と、崩れ落ちる世界

Auteur: 月歌
last update Dernière mise à jour: 2025-12-29 17:09:49

景炎の怒号が、後宮の静けさを破ったのは、春の風が落ち着かない夜のことだった。

「蘭珠! 余の前へ出よ!」

寝所で文を書いていた蘭珠は、手を震わせて立ち上がった。 声が怒りに濁っている。こんな景炎の声を聞くのは初めてだ。

胸がずくりと痛む。

(殿下……どうされたの……?)

扉が激しく開かれた。 景炎が立っていた。金の瞳が燃え上がったように怒りに濁っている。 その後ろに雪瓔が控えていた。薄い白衣が風に揺れ、微笑んだように見えた。

「殿下……?」

蘭珠が一歩近づこうとした瞬間、景炎は冷たく手を払うような仕草をした。

「近寄るな」

その声音に、蘭珠は息を呑む。

「楚凌と……何をしていた?」

心臓が止まる。

(楚凌……?)

思い浮かぶのはただひとつ。 あの日。景炎の変化に怯えていた蘭珠は、楚凌に不安を吐露してしまった。

楚凌はただ、静かに励ましてくれただけなのに。

「殿下、その……誤解ですわ。楚凌将軍とは、ただ……」

「黙れ!」

景炎の怒声が、蘭珠の胸を貫く。

「雪瓔が“夢で見た”のだ。お前が楚凌と人目を避けて会い、密やかに情を交わすのを」

雪瓔は景炎の背後で俯き、細い肩を震わせている。 悲しげに震える仕草が、景炎の怒りをさらに煽る。

「殿下……! 楚凌殿と情を交わすなどありえません。雪瓔様の夢見の力など信じてはなりません!」

「雪瓔の夢見は戦場で何度も余を救った! 嘘などつくはずがない!」

(嘘をついているのは、雪瓔様です……!)

叫びたい。 けれど、景炎はもう蘭珠の言葉を聞いていなかった。

「蘭珠、お前を妃とは認めぬ。離縁する!」

その瞬間、足元が崩れ落ちたような衝撃が蘭珠を襲った。

「り、離縁……? 殿下……私たちは……子を授かったばかりですのに……」

震える声。 胸が軋む。呼吸が苦しい。

景炎の瞳には、もはや一片の慈しみもなかった。

「子など……俺の子とは限らぬ」

「……!」

言葉が出なかった。 景炎の口から、そんな疑いが出るなど思ってもみなかった。

(殿下……どうして……私たちは、あれほど……)

あの日の甘い誓いが、胸を刺す。 戦へ向かう朝、景炎の手が、蘭珠の腹を優しく撫でた感触。

すべてが幻のように遠ざかる。

雪瓔がそっと景炎の袖に触れた。

「殿下……あまり強く言っては、蘭珠様が……」

「雪瓔、お前は正しい。悪いのは妃だ」

雪瓔は蘭珠を見て、涙を浮かべたように微
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